2017年6月9日 / 最終更新日:2024年10月10日
以前、弊社≪USCPAキャリアナビ≫のFacebook上で、同トピックに関するコメントをちらっと掲載したところ、思わぬ反響を頂きましたので、こちらのTopicsにおいて纏めてお伝えしたいと思います。
USCPAを学習中の方はご存知のことと思われますが、USCPA(米国公認会計士)の試験は、FAR(Financial Accounting & Reporting)、BEC(Business Environment & Concepts)、REG(Regulation)、AUD(Auditing & Attestation)の4科目で構成されており、その4科目全てに合格する必要がございます。※2024年より試験制度が変更となり、BECはなくなり選択科目となっております。
尚、USCPAの試験は、1科目ごとの受験が可能な試験となりますが、合格科目実績の有効期限は各科目18ヵ月となり、それを過ぎてしまった場合、合格実績が失効(Expire)してしまいますので、18ヵ月以内に残りの科目全てに合格しないと、学習期間が長引いてしまうことになります。
4科目合格(全科目合格)した時点では、USCPA(米国公認会計士)となったわけではなく、USCPAと名乗る、若しくは名刺に肩書を記載するには、ライセンス(License)を取得する必要があります(※注:グアム州ではCertificateやInactive Licenseというステータスが存在します)。
このライセンス取得の申請には、学歴(取得単位数)と実務経験が必要となります。合格州によってその要件はまちまちで、単位が足らないようであれば追加取得をしたり、実務経験が該当しないようであれば他州に合格実績をトランスファーしたりなどして申請を行うわけですが、成績証明書や在籍証明書の提出、申請書類の作成、申請州のUSCPAライセンス取得者によるサイン、倫理試験(Ethics)の受験など、プロセスも多く時間と労力が掛かります。
予備校によってはライセンス取得サポートを行っているところもございますので、時間と労力を考えると、有料ではありますがサポートを利用した方が良いかもしれませんね。
転職活動を行うにあたって、「ライセンスがないんですが大丈夫ですか?」と質問を受けることもございますが、まず結論からお伝えしますと、転職活動時においてUSCPA全科目合格者とライセンス保有者とで、選考時に評価に差をつけるところはなく、転職活動までにライセンスを取得する必要性はございません。
USCPAの予備校の中には、ライセンス取得を推奨しているところもありますが、それは転職活動の時点という意味ではなく、「ゆくゆくは取得しましょう」という意味合いであることと思います。
全科目合格時点での転職活動時の注意点として、「USCPA」「米国公認会計士」「U.S. Certified Public Accountant」と履歴書や職務経歴書に記載してしまうのは望ましくありません。
「USCPA全科目合格」「米国公認会計士試験 全科目合格」「Passed all parts of USCPA Examination」などと、「全科目合格」という文言を入れる必要がございまして、極論この文言がない場合、詐称と言われても文句は言えません。
『■はじめに・・・』の後半に前述した通り、ライセンス取得までのプロセスは煩雑でとても手間がかかりますし、予備校のライセンス取得サポートや倫理試験の取り寄せなどでお金も掛かります。また、要件は州によって異なりますが、ライセンスを取得した後にはCPE(継続教育)も必要となります。
「それだけ手間やお金も掛かるのであれば、全科目合格のままでいいんじゃない?その後の継続教育(CPE)も面倒だし。。。」
なんて声をよく耳にします。気持ちも分からなくもないですが、ライセンスは仕事をする上でそれなりのメリットもあります。
監査法人や会計系コンサルティングファームで勤務している方は言うまでもないことと思いますが、社内外ともに海外の財務経理部門と関わって仕事をしている方、公認会計士や弁護士などの専門家(特に海外、外国人)と折衝をする立場にある方などにとっては、ビジネスを進める上で有効に働くことが多いのが現状です。
欧米などの先進国におけるCFOは、USCPAや、ACCA(英国勅許公認会計士)、Chartered Accountant(カナダ・豪州)などその国々の会計士資格を有していることが当たり前の世界である中、財務経理に関わる人間の多くが資格を有している、若しくは最低限AccountingやFinance分野の学位を持って専門職としてキャリアを積み上げております。
そのような人間と関わる上で、会社のポジションと肩書だけでなく、自身がどんな人間か、どれくらいの知識があるかを客観的に伝える上で、資格はとても大事な要素になります。(特に欧米人は組織より個を重視する傾向が強いため、対面する人間がどんな会社にいるかよりも、どんな能力を持った人間か見られることと思います。)
USCPAと名刺に記載があることによって、相手も対等(以上)に見てくれますし、雑な表現ですが、海外ビジネスや外国人と仕事をする際に、相手からナメられずスムーズに仕事をする上で、ライセンスは大きなメリットになることと考えています。
働くフィールドによっては、上記はたいしたメリットではないと、考える方もいらっしゃることと思いますが、別の観点でライセンス取得の重要性もお伝えしたいと思います。
日本受験のように米国外での受験の場合は、「全科目合格より3年以内にライセンス(License)を取得する意思がある」ということに同意が求められ、合格から3年以内にライセンスを取得しないと、合格者Databaseから合格登録が削除されると言われております。
これは合格実績そのものが抹消されるわけではない、とも言われていますが、合格実績を抹消すると通知をしている州も出てきており、実績を抹消するという通達が急に来たとしても文句を言うことはできません。現実的には救済期間があるはずなので、すぐに抹消ということはないとは思いますが。。。
ここからはあくまで一部の情報に基づく個人的な推測にはなりますが、この合格実績の抹消は多くの州で取り入れられる可能性もあり、遅かれ早かれライセンス必須の時代が来ることと考えております。
AICPA(米国公認会計士協会)としては、USCPAの品質管理の役割も担っておりますので、『USCPAライセンス未取得 ⇒ 継続教育ができない ⇒ USCPAの品質低下』という流れは避けなければなりません。
AICPAがどれだけ統計を取って分析しているかわかりませんが、仮に日本でのUSCPA合格者が他の国と比較し、ライセンス取得者の割合が極端に低い、ということであれば、日本人の信用力が低下し、日本だけを厳しく締め付ける、若しくは日本受験そのもののがなくなるといった事態に発展する可能性も想定されます。
仕事上ライセンスを持つことに大きなメリットがない方や、実務要件を満たせないなどの事情でライセンス申請ができない方もいらっしゃることと思いますし、そのような方がライセンス取得のみを目的に転職するというのは本末転倒であることと思いますが、日本におけるUSCPAの品質を下げない、逆に品質を上げていくためにも、より多く方にライセンス取得を目指して頂きたいと願っています。
※ライセンス取得を推奨してはいますが、USCPA予備校の回し者ではございません。。。取得サポートを行っている弁護士事務所は別として、1万円~数万円でサポートを行っている予備校がありますが、実は料金以上に手間や労力が掛かるため、利益を度外視した受講サービスの一環として行っている、というのが本音みたいですよ。
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