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2018年のUSCPAの監査法人転職市場の振り返りと2019年はどうなる?

2019年2月1日
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2018年内に投稿するつもりでしたが、センシティブな内容となりますため、少し間を置き公開させて頂いた次第です。「2019年はどうなる?」という題材にしては遅すぎる感はありますが、ご容赦頂けますと幸いです。

2018年はScore Releaseの時期が3月、6月、9月、12月に固定されていましたが、この2019年からは、1つのTesting Windowが4段階に分かれ、最長1か月程でScore Releaseされることとなりました。最長2か月以上も待たされた2018よりも結果が早期に判明することにより、各Windowの前半に受験することへの抵抗も薄まり、勉強のスケジュールも立てやすく、Fail後の立て直しもしやすくなったことと考えています。

また、この2019年からREGの試験範囲が変わることとなったため、王道の順番ではなく、先にREGを取り切ってしまおうと、受験科目を変えて試験に臨んだ方もいらっしゃいましたね。

前置きはこれくらいにして、まずは、2018年6月に公開した『USCPAの監査法人転職事例と考察(2018年上半期 Ver.)』と同じような形で、2018年7月~12月までの半年間におけるUSCPA合格者(科目合格者を含む)の監査法人への転職事例をお伝えすることから始めようと思います。加えて、筆者なりの所感及び考察を述べさせて頂きます。

尚、毎度ながら、個人が特定されないよう、前職に関しては類似業界、類似業務に変更、並びに曖昧性を含んだ記載となりますこと、ご理解ください。

※注:こちらの記事は、IT系職種(IT監査、セキュリティなど)やアナリティクス、バックオフィス分野などは含めておらず、監査・会計系分野に関して記したものです。監査法人全般の募集について記した内容ではございません。

USCPAの監査法人転職事例(2018年下半期 Ver.)

※英語力についての補足説明
 ☆☆☆ 英語堪能:帰国子女、海外大学卒、TOEIC900以上など
 ☆☆  英語上級:短期留学経験あり、仕事上英語を使用、TOEIC800点台など
 ☆   英語中級:留学経験なし、旅行で英語を使える程度、TOEIC800点未満

【1】日系素材メーカー 営業 ⇒ 大手監査法人 事業会社監査
   20代前半/男性/USCPA全科目合格/在籍社数1社/英語力☆☆

【2】日系化学メーカー 購買 ⇒ 大手監査法人 事業会社監査
   30代前半/男性/USCPA全科目合格/在籍社数1社/英語力☆

【3】コンサルティング会社 ITコンサルタント ⇒ 大手監査法人 事業会社監査
   20代前半/男性/USCPA全科目合格/在籍社数1社/英語力☆☆☆

【4】海外会計事務所 スタッフ ⇒ 大手監査法人 事業会社監査
   30代前半/男性/USCPA全科目合格/在籍社数2社/英語力☆☆☆

【5】日系電子部品メーカー 経理 ⇒ 大手監査法人 事業会社監査
   20代半ば/男性/USCPA 2科目合格/在籍社数1社/英語力☆☆

【6】日系教育事業会社 サービス業 ⇒ 大手監査法人 事業会社監査
   20代後半/男性/USCPA全科目合格/在籍社数2社/英語力☆☆

【7】日系機械メーカー 経理 ⇒ 大手監査法人 事業会社向け会計アドバイザリー
   20代後半/男性/USCPA全科目合格/在籍社数1社/英語力☆☆

【8】日系化学メーカー 経理 ⇒ 大手監査法人 事業会社向け会計アドバイザリー
   30代前半/男性/USCPA全科目合格/在籍社数1社/英語力☆☆

【9】日系電子機器メーカー 経営企画 ⇒ 大手監査法人 金融監査
   20代半ば/男性/USCPA 2全科目合格/在籍社数1社/英語力☆☆

【10】日系金融機関 金融事務 ⇒ 大手監査法人 金融監査
   30代前半/女性/USCPA全科目合格/在籍社数1社/英語力☆

【11】未就業 ⇒ 大手監査法人 金融監査
   20代前半/男性/USCPA全科目合格/在籍社数0社/英語力☆☆

【12】日系サービス事業会社 通訳・翻訳 ⇒ 大手監査法人 金融監査
   20代後半/女性/USCPA3科目合格/在籍社数2社/英語力☆☆☆

【13】日系金融機関 営業 ⇒ 大手監査法人 金融監査
   30代前半/男性/USCPA全科目合格/在籍社数1社/英語力☆

【14】日系金融機関 営業 ⇒ 大手監査法人 金融監査
   20代後半/男性/USCPA全科目合格/在籍社数1社/英語力☆

【15】中規模会計事務所 スタッフ ⇒ 大手監査法人 金融機関向けアドバイザリー
   20代半ば/男性/USCPA 3科目合格/在籍社数1社/英語力☆☆☆

【1】~【8】までは『事業会社向け』の監査・アドバイザリー、【9】~【15】までは『金融機関向け』の監査・アドバイザリーという並びにさせて頂きましたが、それ以外は順不同です。尚、残念ながら大阪での事例はなく、全て東京での事例となります。

■2018年のUSCPAの監査法人転職市場の振り返り

『USCPAの監査法人転職事例と考察(2018年上半期 Ver.)』と合わせると、2018年は30名の事例を挙げさせて頂いておりますが、下半期も経理経験者に限らず、営業やサービス業など異分野出身者も採用され、複数の法人で内定が出た方が過半数を占め、2017年に続き科目合格者の採用も見られました。1年の中で積極採用をする法人に変化はあり、採用が鈍化した部門は一部あったものの、総じて言えば、2018年の監査法人の転職市場は活況な状態が続いたと言えます。

上半期に関しては、『積極採用をしている法人と採用を控える法人とで二極化』している状態が続いたと以前の記事でお伝えしましたが、「働き方改革」推進という日本社会の時流に乗った大きなうねりを背景に、1日で全ての選考を終える1day選考会や採用セミナーを実施するなど、二極化しながらも積極採用を続いたことと考えています。

そして、下半期はどうなったか。『積極採用をしている法人と採用を控える法人とで二極化』の状態は変わらずでしたが、法人が1つ入れ替わりました。つまり、上半期の採用である程度の充足感が見られた法人の採用は鈍化し、新たに積極採用を開始した法人が現れました。

ここで注釈を入れますと、上述したのはあくまでも監査部門での話。

ではアドバイザリー部門はどうかと言うと、2017年から続く事業拡大路線は変わらず続き、新規案件の受注可否、退職者の補填などの要素で不定期に採用温度感に上下変動はあったたものの、2018年全体としては積極採用であったと感じております。また、プロジェクトとしては、従来のものに加えて、『新収益認識基準』『リース会計』などのIFRSの流れを汲むものや、『RPA』『AI』など時流に乗ったものも目につくようになり、アドバイザリー業務の内容も時代のニーズに応じて徐々に変化が見られるようになりました。

アドバイザリーも積極採用とは言えども、完全な未経験者の採用は筆者が把握している限り行っておらず、経理(の中でも主計部門)、若しくは上場企業の管理会計出身者、類似したコンサルティング業務経験者が採用の主なターゲットとなっており、+USCPA(法人によっては必須)で採用の角度が高まる、といった意味合いとなりますので、USCPAに合格していれば何とかなる、というものでもなく、これは2017年から変わらず続いています。

■2019年の監査法人の転職市場はどうなる?【監査部門】

まずは監査部門の話から。前述の上のテーマの冒頭で「活況な状態が続いた」1年と表現したものの、厳密に申し上げると、「活況状態を何とか持ち堪えた」1年であったとも言え、昨年11月,12月頃から急に追い風が止まり、2019年は買い手市場になるとまでは言いませんが、売り手市場ではなくなる年と見ています。

元々、2018年の上半期を最後で積極採用はそろそろ終息するんじゃないかと考えていました。当時積極採用をしていた法人も、一つはしばらく控えていた監査先の新規受注を再開するという噂が耳に入りましたが、それが意味するのは、「新規受注できるだけの人員体制となり、緊急性の高い採用をしなくても済む状態になった」こと。もう一つの法人も長らく中途採用を行ってきた成果もあってか、現場で働く方から「仕事の割り振りに頭を悩ますほどの人手不足が緩和されてきた」という声も耳にするようになったことが、終息すると考えた理由となります。

その懸念通り上述前者の法人は下半期に採用意欲が下がり始めましたが、その一方、下半期から別の法人で積極採用をし始めました。これは筆者としては想定外の完全ノーマーク状態でしたが、下半期の監査法人の転職市場はこの法人の採用に下支えされた形で、何とか積極採用という体を保っていた感はあります。

薄氷とまでは言わないまでも、いつ割れるわからない氷の上での積極採用…そこにどかっとハンマーを振り下ろしたのは、11月に行われた「公認会計士 論文式試験合格者の定期採用」。

2011年の6.5%から6年間上がり続けてきた合格率が下がった(11.1%で対前年比 0.1 ポイント減)ことにより、合格者数は筆者想定の数を下回り、1,305人(対前年比74人増)であったのですが、大手監査法人の採用予定数を満たすには十分な数で、実際に勝ち負けなく大手は全て順調に採用できたという話を伺っています。(その前年まではこの法人は採用が上手くいった、この法人は上手くいかなかった、という声もありました。)

監査経験者やシニアスタッフ(シニアアソシエイト)の採用熱は依然として高い水準で維持することと考えておりますが、この定期採用により、監査部門における監査1年目スタッフの人材の需要が下がり、それが昨年11月,12月頃から中途採用に顕著に表れ始めており、USCPAを採用しなくなったという意味ではなく、中途採用が縮小してきているとお考え頂ければと思います(現に日本の公認会計士も何名かこの時期に書類落ちしています…)。

他にも、監査業務に大きな負荷を与えるようなテーマがないこと、将来的に監査業務の一部が自動化することを想定し、人を増やすことに及び腰であることなども背景としてありますが、売り手市場ではなくなる年、と断言した背景の大きな要素を纏めますと、以下の2点に集約されることと考えています。

・「働き方改革」の一環で続いてきた緊急性の高い採用はほぼ終息
・定期採用で大手の各法人とも順調に採用

昨年末から追い風が止まったのでは、という感覚はあったものの、一過性である可能性も考えられたため、判断をする上での材料集めと様子見の期間を置いた上で、筆者なりの見解を述べさせて頂いた次第です。

■2019年の監査法人の転職市場はどうなる?【アドバイザリー部門(会計系)】

アドバイザリー部門に関しては、もう少し簡潔に。

そもそも未経験者ポテンシャル採用はごく一部のみで、上述したとおり、2018年は事業会社経理やコンサルティング業界等で親和性の高い業務を経験している人材が採用の主なターゲットとなっておりましたが、その傾向は2019年も変わらず続くと考えています。

採用の全体的な温度感としては、1年通じて高めで推移することと思いますが、アドバイザリー部門においては、退職者等の人材の流動性、アドバイザリー案件の受注&失注などの要素によって、どの層を求めるかなどの採用ニーズが不定期に変動する可能性があり、現時点でも一時的に消極的な採用となっている法人も見られます。

『RPA』『AI』などをキーワードとしたアドバイザリー案件も扱い始めておりますので、地頭勝負的な募集やITリテラシーを持つ人材への需要も高まるという予感はあります。また、昨今世間を賑わしている不正会計の影響により、GRC分野(ガバナンス・リスクマネジメント・コンプライアンス)、フォレンジック分野は盛り上がりを見せており、2018年に続いて活況となると思いますが、これらの分野は監査法人内のアドバイザリー部門に必ず存在している、というわけではないため、Big4グループ全体、若しくはコンサルティング業界での視点で、という話になってしまいますね。

■2019年、監査法人への転職活動を進めるにあたって

この2019年は、採用されやすい人(=複数で選考が進み複数から内定が出る)と、採用されにくい人(=どこも面接すら呼ばれない)が明確に分かれることとなり、自身の体験談で「今もまだ積極採用ですよ」と言っている方もおりますが、それは経験やスキル、コミュ力を備えた前者(全体の20%くらい?)に分類されるとお考え頂ければと思います。マジョリティである後者目線で、今年監査法人への転職活動を進めるにあたってポイントとなりそうなことを以下3点に纏めてみました。

【1】年齢面

これはとてもセンシティブなので、何歳までとは明言はできません。ただ、年齢に対する目線が厳しくなり、従来と比較して2,3歳若い方を好むと考えています。

その背景として、2018年の公認会計士 論文式試験合格者の年齢別合格者の割合を見てみますと、「25歳未満が61.5%」で、2017年の「53.7%」から大きく増加しており、監査スタッフの年齢層が全体的に若くなっていることを勘案すると、中途採用にも影響を及ぼすと考えております。

特に完全に異業種&異職種からUSCPAに合格しキャリアチェンジで、ということであれば、尚更この点が重要になってくると思います。

【2】応募の時期・タイミング

これはこの1月からサポートを進めるにあたって、頭を悩ましている点です。今この時期に応募を進めるのが良いのか、それとも時期をずらした方が良いのか…

応募の時期をずらすというのは、筆者なりに「大手は今よりも積極的になるだろう」と推測している時期があり、一方で中堅・準大手は採用の許容数を考えるとスピード勝負的な色が強く、応募のタイミングに関しては個々の状況を熟慮の上、個別にアドバイスをさせて頂いています。

「いつ応募するの?」「今でしょ!」が必ずしも良いとも言えず、この応募の時期とタイミングが合否を左右する重要なポイントになると考えています。

その時期というのはUSCPAの試験でいう第4Qでないことだけは断言できますが、間違った情報の一人歩きだけは避けたいため、これ以上はこの記事上ではお伝え出来ません。

【3】経歴書類と面接での受け答え

けっこう落とし穴に嵌ってしまう方もおりますが、ずっと積極採用をしている法人だからと言って、必ずしも選考が緩いわけではなく、実はその逆です。これまで長きに渡って採用活動を行った経験から、選考において採用すべき人とそうでない人の線引きがなされています。つまり、目が肥えているが故に、書類選考においても面接においても厳しく判断される、というわけです。

これに限らず、2019年は同時期に応募してきた方との他者比較という要素も加わってくると考えていますし、他者との差別化という意味においても、経歴書類や面接での受け答えの水準をいかに上げるかがポイントになると考えています。

自身の経歴は変えることはできませんが、それを経歴書類や面接でどのように表現するかで見方もだいぶ変わってきます。書類に誤字脱字があるのは論外として、(異分野であっても)しっかりと実績や頑張ってきた感が伝わるかもそうですが、【1】にも関連しますが、年齢に見合った自己PR&志望動機になっているかという点もとても大事なポイントです。

■最後に・・・

多方面への情報収集を経てこう伝えようと決めてからも、書きたいことが次から次へと出てきてしまい、いつものように長文乱文となってしまい、失礼しました…

そして、全体的に暗い話題に終始しましたが、諦めましょう、勉強しても無駄だというメッセージを伝えたいわけではありません。むしろその逆で、リーマンショック後の監査法人での採用がほぼゼロであった猛烈&無慈悲な逆風時代を考えると、「逆風」ではなく「追い風が止まった」だけで、まだまだチャンスは転がっております。

悲観的に考え抜いた先に対処法を練ることで、希望的観測ではなく楽観的に考えられると思います。現状を理解した上であれば、何かしら対策は練れますし、その対策と準備なしに応募することで限りある監査法人へのチャンスを不意にして欲しくありません。筆者自身も時代が変わったことを重く受け止めており、どう打開していくかに知恵を絞りながら、昨年とは異なるサポートを行っていきたいと考えております。

無責任な話ですが、あくまでも筆者なりの見解を述べさせて頂いただけですので、情報の取捨選択は読者の方にお任せしたいと思います。
最後までお読み頂き、有難うございました。

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