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USCPAの監査法人転職事例と考察(2019年上半期 Ver.)

2019年7月17日
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半年に1度の恒例記事となった『USCPAの監査法人転職事例と考察』ですが、この2019年も上半期を過ぎたところで、『2019年上半期 Ver.』を書き綴ってみました。前回と同様に、今年2019年の1月からこの6月までの間に、USCPA全科目合格者の監査法人への転職事例を挙げさせて頂き、そのサポートを行ってきた筆者なりに上半期を振り返り、2019年下半期に向けての観測もお伝えできればと思います。

尚、今回の挙げさせて頂く事例においても、個人が判明することがないよう、前職に関しては本質がぶれない程度に類似業界、類似業務に変更、並びに曖昧さを含んだ記載となりますこと、予めご理解頂けますと幸いです。

※英語力についての補足説明
 ☆☆☆ 英語堪能:帰国子女、海外大学卒、TOEIC900以上など
 ☆☆  英語上級:留学経験あり、仕事上英語を使用、TOEIC800点台など
 ☆   英語中級:留学経験なし、旅行で英語を使える程度、TOEIC800点未満など

【1】日系SIer エンジニア ⇒ 大手監査法人 事業会社監査
  20代半ば/男性/USCPA全科目合格/在籍社数1社/英語力☆☆☆

【2】海外会計事務所 ⇒ 中堅監査法人 事業会社監査
  30代前半/女性/USCPA全科目合格/在籍社数3社/英語力☆☆

【3】行政機関 専門職 ⇒ 大手監査法人 事業会社監査
  20代後半/男性/USCPA全科目合格/在籍社数1社/英語力☆☆

【4】日系素材メーカー 経理 ⇒ 大手監査法人 事業会社監査
  20代半ば/男性/USCPA全科目合格/在籍社数1社/英語力☆☆

【5】外資系IT企業 コンサルタント ⇒ 大手監査法人 事業会社監査
  20代後半/男性/USCPA全科目合格/在籍社数2社/英語力☆☆☆

【6】アルバイトのみ ⇒ 中堅監査法人 事業会社監査
  20代前半/男性/USCPA全科目合格/在籍社数0社/英語力☆☆

【7】日系電機メーカー 経理 ⇒ 大手監査法人 事業会社監査
  20代半ば/男性/USCPA全科目合格/在籍社数1社/英語力☆☆

【8】日系建設会社 営業・調達 ⇒ 大手監査法人 事業会社監査
  20代半ば/男性/USCPA全科目合格/在籍社数1社/英語力☆☆

【9】日系化学メーカー 海外営業 ⇒ 大手監査法人 事業会社監査
  20代後半/男性/USCPA全科目合格/在籍社数1社/英語力☆☆☆

【10】日系サービス業 経理 ⇒ 大手監査法人 事業会社監査
  20代後半/女性/USCPA全科目合格/在籍社数1社/英語力☆☆☆

【11】日系専門商社 経理 他 ⇒ 大手監査法人 事業会社向け会計アドバイザリー
  30代前半/男性/USCPA全科目合格/在籍社数3社/英語力☆

【12】日系ゲーム会社 経理 他 ⇒ 大手監査法人 事業会社向け会計アドバイザリー
  30代前半/男性/USCPA全科目合格/在籍社数2社/英語力☆☆

【13】日系インフラ系企業 法人営業 ⇒ 大手監査法人 金融監査
  20代半ば/男性/USCPA全科目合格/在籍社数1社/英語力☆☆

【14】日系金融機関 金融事務 ⇒ 大手監査法人 金融監査
  20代後半/女性/USCPA全科目合格/在籍社数1社/英語力☆

【15】会計アウトソーシング会社 経理 ⇒ 大手監査法人 金融監査
  20代後半/女性/USCPA全科目合格/在籍社数2社/英語力☆☆☆

【1】~【12】までは『事業会社向け』の監査・アドバイザリー、【13】~【15】までは『金融機関向け』の監査という並びにさせて頂きましたが、それ以外は順不同です。尚、関西の事例は1件のみで、他は全て東京での事例となります。

■2019年上半期の振り返りと下半期に向けて

【1】監査職は募集が限られ、アドバイザリーは若干厳しめの選考に

法人や部門によってかなりの温度差がありますため、あくまでも全体感という話ですが、大手監査法人では内定を得られず中堅・準大手監査法人の内定のみ、また、万全の準備をしたつもりで応募しながらも、力及ばず監査法人全てにおいて見送りとなってしまった事例も出てきてしまいました(監査法人への転職活動を一任されながら申し訳ない限りです)。

加えて、募集そのものがクローズ、ほぼクローズに近い状態となってしまった法人及び部門も、今年の上半期から出始めております。

その背景について、毎回お伝えしているとくどくなるので詳しくは割愛しますが、『2018年のUSCPAの監査法人転職市場の振り返りと2019年はどうなる?』の【監査部門】のところで、「働き方改革の一環で続いてきた緊急性の高い採用はほぼ終息」、「公認会計士試験合格者の定期採用で大手の各法人とも順調に採用」の二点を挙げさせて頂きましたが、その二つの要素に加えて、実はもう一つ、この上半期特有の重要な要素があります。

その要素というのは、今年の上半期(1月~6月)は、「監査法人の決算期では下期にあたる」ということ。厳密には有限責任監査法人トーマツは6月から、他の大手監査法人は7月から新しい年度が始まります。昨年2018年6月、7月から2018年度の採用計画のもとで中途採用が進められてきましたが、その年度の上期において採用が順調に進んだことにより、下期は鈍化した、という経緯となります。

※分かりにくいため、監査法人における期については、上期、下期と表記しています。

そもそも監査法人は上期に採用を強化する傾向があるものの、完全な売り手市場の中であれば下期に鈍化することはなく、1年を通して積極採用を維持していましたが、売り手市場の追い風が収まってきたことを背景に、下期、つまり2019年上半期には、採用の鈍化が顕著に出てしまったとも言え、これは【監査部門】に限らず、【アドバイザリー部門】においても、下期、上半期に採用基準を引き上げたところも見られました。

【2】下半期はスピード勝負

上述の流れで、この下半期に向けてのメッセージもお伝えできればと思います。

上半期に関しては、上述の状況があったため、経歴的に弱いと判断させて頂いた方、科目合格の方を中心に、応募を控えて頂くなど、状況が好転するまで応募待ちを促した方も数多くいらっしゃいましたが、この下半期に入ってからは、特に【監査部門】に関してはスピード勝負となります。

既に監査法人は2019年度の採用計画のもとでの中途採用を始めておりますが、積極採用を再開し始めた法人や部門も出てきました(この文面を書いている間にも採用強化の連絡がありました)。ただし、これは好転したとは言えども、長く続くというわけではなく、昨年をベースに考えますと悪化する時期もある程度想定はできます。

【監査部門】に関しては、全体として昨年よりも採用意欲が高いとも言えず、各法人ともに採用が順調に進み早い段階で充足することが見込まれますし、11月の公認会計士論文式試験の定期採用が近づくにつれ、必ず採用意欲は落ちますし、それを過ぎると、若干の採用は残りつつもほぼクローズに近い状態になると予想しています。つまり、勝負どころは積極採用を再開し始めた下半期(上期)の前半である7月~9月、ぎりぎり10月まで、と考えています。

ここで挙げさせて頂いた転職事例に触れておきますが、上記事例及び『2018年のUSCPAの監査法人転職市場の振り返りと2019年はどうなる?』で挙げさせて頂いた事例に近しい方であれば、この下半期の前半であれば内定を得られるチャンスは十分にあると考えて頂ければと思います。

【アドバイザリー部門】に関しては、「財務会計(IFRS等会計基準)領域」「GRC(ガバナンス・リスク・コンプライアンス)領域」においては、金融、非金融ともに採用ニーズが高い状態が続くことと思いますが、この下半期(上期)で採用が順調に進んだ場合のことを考えますと、【監査部門】程とはならないものの、来年2020年の上半期は減速が懸念されます。

採用ニーズが高い状態、とは言えども、未経験スタッフ層の採用ニーズが高いわけではなく、その領域における親和性が高いか否か、すなわち即戦力としてサービスが提供できうる経験や実績があるかが採用の土台となっておりますため、決して間口が広いとは言えません。(一部、ポテンシャル採用を行っているところもあります。)

法人や部門によってはUSCPAを必須条件に設けていないところもございますので、監査法人がクライアントとして抱えている企業規模と同等の企業における本社経理、内部監査等の経験を持つ方であれば、学習中でもチャンスはあります。必ずしも転職を推奨する立場ではないのですが、転職にはタイミングも重要であることと思いますので、この時期に一度検討しても良いかもしれません。

■最後に・・・

着手し始めてから長くかかった割には内容が薄くなってしまい申し訳ないです…。ただ、率直に申し上げて、個別にはお伝えしてきたものの着地点としてお伝えするメッセージがこれで良いのか、特に未経験から監査職を目指して…という方の夢を壊してしまうのではないかという迷いがありました。

メッセージの一つとしては、『【監査部門】の採用は、下半期(上期)の前半である7月~9月(ぎりぎり10月まで)が熱い』ことで、これはGood Newかもしれません。

ただ、もう一つのメッセージとして、『それを過ぎると、若干の採用は残りつつもほぼクローズに近い状態になる』ことが意味するのは、『ほぼクローズの状態から近い将来復活することは考えにくい』ことに加えて、『未経験から監査職にキャリアチェンジする』ことが困難になるということ。

1,2社は残るであろうという希望的観測が故に『ほぼ』と表現しておりますが、全クローズの可能性もあり、それが現実となった場合、他にどのような道があるのかは正直なところまだ考えあぐねています。

その時の採用意欲が高い&経験との親和性があるアドバイザリー職(監査法人の枠内に限らず、Big4グループが専門としている領域を含め)に挑戦するべきか、外部から関与する専門職を諦めて経理財務等に進んだ方が望ましいのか…監査職に代わる道については、この場で明言できるものはないため、個々と向き合いながら目指す方向性を一緒に模索していければと考えています。

決して不安を煽ることを目的としたわけでもなく、あくまでも筆者なりの見解を述べさせて頂いただけですので、情報の取捨選択は読者の方にお任せしたいと思います。最後までお読み頂き、有難うございました。

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