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大手監査法人の選考スタイルと応募時に気をつけるべきこと

2024年11月13日
  • USCPA全科目合格
  • 監査法人
  • 転職ノウハウ

2017年9月20日 / 最終更新日:2024年11月13日

USCPA(米国公認会計士)全科目合格者、ライセンス保持者が「監査法人」へ応募をされる際に、気を付けるべきことを纏めてみました。

USCPA合格を切り口に採用活動を行っている各部門での中途採用の話であって、監査法人の選考全てに該当する話ではありませんし、部署によっては多少異なる点もございますので、誤解が生じることがないよう、今回の記事をお読み頂くにあたっての注意点を、以下にて挙げさせて頂きます。

・一部の部門、USCPAとは関連の薄い部門(管理部門やIT系のアドバイザリー部門など)における中途採用や、新卒採用、日本の公認会計士試験合格者の定期採用は除きます。
・中堅・中小監査法人は除きます。
・2020年3月現在における話となります。

尚、健全な選考を阻害することがないよう、転職ノウハウを伝えるというよりも、応募時にはこういう認識を持って下さい、という内容に留めておりますこと、ご理解頂けますと幸いです。

■応募部門での選考~応募部門で内定という色が強い

実際に過去に事例が何度かあった話でもありますが、「一番内定を得やすいところ(部門)で内定をもらい、その後に部門の希望を出せば良い」なんてアドバイスをしている方もいるようですが、これは一般事業会社の中途採用の選考に置き換えた場合、「営業で内定をもらって後から経理への配属希望を出す」のと同じことで、つまりは論外です。部門ごとに専門性が異なるため、求める人材のスペックも異なりますし、選考の目線も異なりますので、決して極端な例えではないと思います。

仮に、ある部門で内定をもらった後に、他の部門への配属希望を出したのであれば、その部門で選考を一からやり直す形になります。そんなことをすれば監査法人側の心証を害するだけでなく、時間を割いて面接を行ってくれた部門にも、人事にも迷惑が掛かりますので、良いことなんて一つもないんです。

もちろん、一日選考会などで部門を限定せず選考して採用する、というスタイルで採用を行っているところであれば問題はないです。

税理士法人やコンサルティングファームも同様かと思いますが、監査法人は様々な専門領域を持った部門やチームの集合体という意味合いが強く、一般事業会社の組織体とは異なることと考えています。ここでの題名にもありますが、各部門で選考し各部門で内定を出す、という色が強いため、志望する部門をしっかりと考えた上で応募する必要があります。

キャリアという側面に関しても、入社後に社内のJob Posting制度などを使って他の部門に異動することも可能ですが、異動するにしても初めにどの部門でどんな経験を積み、どんな専門性を身に着けることができるか、という点も重要ですので、やはり最初に入社する部門をどこにするかはとても重要なことであることと思います。

■最初の面接が一番の山場

転職成功事例の中でも少しずつこの内容に関して触れてきましたが、一次面接だからと言って軽い気持ちで臨むべきではありません。

一般事業会社の面接ですと、一次面接は選考部門の課長クラスや人事部が出てくることが多く、二次面接、最終面接と進むにつれて、面接官の役職が上がっていくのが通例となりますが、監査法人の場合は、一次面接から部門のパートナークラス、一般事業会社に置き換えると役員クラスが面接官として複数名出てくることが多いです。一次面接という名称ながらもその面接のみで完結するケースも少なくありません。

部門における採用の権限を持つパートナーが一次面接から出てきた場合、「良さそうだからとりあえず次の面接に進んでもらおう」という緩めの目線ではなく、採用するか否かの厳しい目線での面接になりますので、この点も注意が必要です。

いきなり社長面接、みたいなものですから、一次面接からしっかりと準備を行った上で面接に臨む必要がございます。最近は選考スピードも速いため、すぐに面接に呼ばれて慌てふためくのではなく、応募の時点から面接に備えて、改めて自身の経験の棚卸を行い、面接で伝えるべき内容の骨子だけでも固めておいた方が良いと思います。(2024年3月現在においては、一次面接の面接官はマネージャーが対応するところもいくつかございます。)

■「応募する部門とその仕事」という点にフォーカスした志望動機を

「各法人向けの志望動機どうしよう…」「法人の違いが分からないから志望動機を作るのが難しい」という相談を受けることもありますが、私見ではありますが、各法人向けの志望動機は二の次であることと思います。

逆に法人向けの志望動機が先に来るのはダメです。もちろん、「何でうちの法人に?」と面接で必ず聞かれますので、最低限の準備は必要ですが、それよりも「なぜ監査をやりたいのか?」「なぜ金融機関向けの業務をやりたいのか?」「なぜこの分野のアドバイザリーサービスをしたいのか?」など、自身が応募した部門での仕事にフォーカスした志望動機、つまり、その仕事をやりたい理由を先に伝え、確固たる意志を伝えるべきです。

「この監査法人に入りたい」というモチベーションの人と、「この仕事をしていきたい、この領域のプロとしてやっていきたい」というモチベーションの人、どちらを採用したいかというと、明らかに後者です。

また、大手監査法人は一部のアドバイザリー部門や管理部門では実施しているものの、新卒採用(定期採用ではなく、大卒の新卒採用という意味)を行ってこなかったという歴史的な背景がありますので、就職したいランキングで常に上位に位置付けられている海外とは異なり、日本では馴染みの薄い業界ですし、各法人のHPを見て違いを見出すというのは難しいことと思います。

そのため、法人ごとの違いを明確に理解して面接の場で答えられる方も多いわけではなく、法人に対する志望動機はそこまで強く求められません。もちろん何も言えないというのは論外ですので、自身との過去の接点やHPを見てこう感じこう考えたなど、最低限の準備はしておく必要はございます。

また、他社の応募状況を面接の場で聞かれることもあります。本当にその法人しか応募していないのであれば別ですが、同時並行で応募を進めていながら「御法人(オンホウジン)のみしか受けていません」も決して響くものではありません。むしろ「そんなはずはないだろ」と疑念を持たれてしまうので、率直に答えた方が良いですね。

■過度な経歴アピールはマイナスと捉えられることも

企業に信頼を与えるという社会的役割の高い監査法人の一員として採用される上で、何よりも大事なことは「誠実」であることです。

経歴書類上で、虚偽の記載をすることは言うまでもないことと思いますが、事実ベースの実績や自己PRはしっかりと記載すべきではあるものの、例えば、補助的に関わっただけのことをあたかも自分が主体的に関わった、営業実績の数値を水増しするなど、経歴を過度に盛ることも避けた方が良いです。

また、「あれもこれもできます」と『Can』の要素を押し出すよりも、現職若しくは前職での経験を土台としながらも、「こうしていきたい」「これを目指します」という『Will』の要素を強く押し出すことの方が大事です。

つまり意欲や熱意、覚悟が大事ですよ、と言いたいわけですが、監査法人は専門家集団であって、その中で勤務している方でも分からないことだらけで、常に新しい知識や情報を吸収し、自己研鑽を積み重ねる必要があります。例え現職や前職において経理畑で経験を積んでいたとしても、業務に入っていきやすいという利点はあるものの、経験をそのまま専門性として活かすには限度があることと思います。

監査法人入社後には研鑽の連続性が待っていますので、USCPA全科目合格後にはもう勉強したくない、というタイプの方は、そもそも監査法人には向いていないのかもしれません。

■Web適性テストの準備もしておくべき

監査部門よりもアドバイザリー部門に多いのですが、選考の過程でWeb適性テスト(SPIや玉手箱)を実施するところも増加してきました。とある監査法人では、過去は形式的に実施していただけ(?)でしたが、一次面接前の一次選考として実施する、という形になっており、面接では評価は高くなかったものの、Web適性テストが基準値を大きく上回ったため内定が出た、なんてケースもございます。

Web適性テストは多くの場合、受検の案内から1週間ほど、という期限が設けられます。自宅で24時間受検できるものとなりますので、期限の延長申請が難しく、案内が来てから焦って準備をしても間に合わない可能性もあります。そのため、どの法人のどの部門でWeb適性テストを実施するのか事前に確認をしておきましょう。

■最後に・・・

転職系のクチコミサイト上では、数多くの事例が載っていますが、色々な部門の情報が混在し、公認会計士試験合格者の定期採用のものだったり、今とは異なる古い情報だったりと、1つ1つは正しいもの(であった)かもしれませんが、「USCPA」「監査法人」「中途採用」という3点にフォーカスし、応募時の注意事項について綴らせて頂きました。

改めてではありますが、筆者は健全な選考を促進する立場でもありますので、当記事においては公開できる情報に限りがあり、深くまで掘り下げることはできませんが、監査法人へ応募をされる際に参考にして頂ければと思います。

≪USCPAキャリアナビ≫では・・

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