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大手監査法人におけるUSCPAの活躍先

2024年4月12日
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2017年5月25日 / 最終更新日:2024年4月12日

大手監査法人の中でも、日本の公認会計士だけを採用する部門、アクチュアリーや金融専門職、ITバックグラウンド等の経験を持つ人材のみを採用する部門などが存在する一方、USCPA(米国公認会計士)を採用する部門も数多く存在します。

コロナ禍で採用を控えた時期はありましたが、その前後の数年間、売り手市場が続く中で、USCPAを対象に積極採用を行う部門が大幅に広がりました。選択肢が広がる一方で、「監査法人に転職したい」という気持ちだけで領域や部門を選ばず転職してしまうと、その領域や部門でできる仕事とやりたい仕事のミスマッチが発生してしまう恐れがあり、現実問題としてそのような事象が多々起きています。

「監査法人でどのような仕事がしたいのか」「監査なのかアドバイザリーなのか」「アドバイザリーであればどの領域でやっていきたいのか」など、事前に方向性を考えた上で応募を進めていく必要があることと思いますが、方向性を決める上での一助になればと考え、大手監査法人におけるUSCPAの活躍先を挙げさせて頂きます。

■金融機関向け監査部門

大手監査法人内で、金融部、金融事業部、金融監査部などと呼ばれている部門となりますが、USCPAの中途採用の歴史は一番長く、数多くのUSCPAが活躍されている部門となります。

仕事内容としては、銀行、証券、保険(生保・損保)、信託銀行、アセットマネジメント会社、ノンバンク、リース会社、信販会社、不動産及び不動産金融等の金融機関を対象に監査業務を行うのですが、USCPAの多くは主に米国証券市場に上場している金融機関(三菱UFJフィナンシャル・グループ、みずほフィナンシャルグループ、三井住友フィナンシャルグループ、野村ホールディングス、オリックス 等 ※敬称略・順不同)及びその子会社、外資系金融機関の監査チームに入って監査業務に従事して頂く形になることが多いです。

海外に展開している金融機関や外資系金融機関へ監査業務を行う上では、海外提携ファーム(例えばEY新日本有限責任監査法人であれば、海外のEYメンバーファーム)とのやり取りも行う必要があること、また、基幹システムが全て英語であったり、監査先の対応者が外国人で英語対応が必要であったりなど、英語力を備えたUSCPAは重宝される存在となっております。

また、法人によっては、金融機関の中でさらに細かく業界ごとに区分けしてユニットを形成している法人もありますので、その点は応募時に留意して頂ければと思います。

■一般事業会社向け監査部門(国内及び国際企業向け監査)

ひと昔前は国内監査部門と国際監査部門で組織を分けていた大手監査法人が多かったのですが、現在は明確に区分けしている監査法人は存在していない(一部、中堅中小の監査法人では外資系企業のみを担当する部署が存在している)ことと思います。海外に展開している会社の方がマジョリティを占めている中、敢えて国際監査部門と命名する必要性はないからかもしれません。

さて、一括りに一般事業会社向け監査部門と記載していますが、製造(自動車、機械、電子・電気機器、食品、化学、製薬など)、商社、小売、情報・通信、広告・出版・マスコミ、サービス業など、金融機関と公的機関を除いたあらゆる業種業界の企業向けに監査業務を提供している部門とお考え頂ければと思います。

上述の金融機関向け監査部門と比較した場合、この一般事業会社向け監査部門についてはUSCPA採用の歴史としては浅く、活発に採用を行うようになったのは2015年頃の話(それ以前も採用はあったがごく一部のみ)となります。日本の公認会計士試験合格者が減少傾向にある中で、会計監査要員の不足が深刻化し始めたことを背景に、大手監査法人を中心にUSCPAの中途採用を積極的に行い始めたのを皮切りに、その後も継続して採用活動を行ってきた結果、現在はほぼ定着化していると言えるでしょう。

主には日系グローバル企業、特にUSGAAPやIFRSで財務諸表を作成している企業や外資系企業の日本法人の会計監査においてUSCPAが活躍しております。

■各種アドバイザリー部門

古くは「J-SOX法」の成立を機に、2007年前後から「内部統制構築支援」「内部統制アドバイザリー」という形で、USCPAも対象に広く採用を始めました。その後、リーマンショックを機に採用が一時期凍結するものの、2014年頃から「会計アドバイザリー」という形で採用を再開しました。その当時、非監査業務の売上を伸ばそうという動きを各法人が見せており、実際に2015年から2016年を比較すると、監査業務は約5%の増加に留まる一方で非監査業務は約15%も増加している状況でした。

そもそも非監査業務とは、その名の通り「監査以外の業務」のことを指し、IPO支援、GRC(ガバナンス・リスク・コンプライアンス)サービス、M&A関連アドバイザリー、ビジネスプロセス改革支援、ITリスク・セキュリティ対策支援、ESG関連サービスなど会計以外の業務も含む広範囲の業務となり、アドバイザリー業務と言い換えても差し支えないことと思います。

大手だけでなく中堅や中小監査法人においても、クライアント数に限りのある監査業務よりもアドバイザリー業務の拡充に力を入れてきたことにより、アドバイザリー業務が増加しているのですが、その業務への対応のために中途採用を積極的に行っているという背景がございます。

【1】会計アドバイザリー

アドバイザリー業務の中でも会計関連にフォーカスした場合、当記事を最初に編集した2017年時点で主流となっていたのがIFRS導入でした。2017年4月時点で、適用済及び適用決定会社は143社(日本取引所グループHPより)にまでのぼり、当時水面下で適用を進めていた会社や適用を前向きに考えていた会社も数多く存在しており、そのような会社に対して外部からIFRS導入を進めていくアドバイザリーの需要は続き、長きに渡り会計アドバイザリーを支える存在となりました。尚、更新した2023年6月時点でIFRS適用決定会社268社(適用予定を含む)となっています。

また、会計アドバイザリー業務においてUSCPAの方々が数多く関わってきた業務の一つとして、会計基準(財務諸表)のコンバージョン業務が挙げられますが、コンバージョンとは、ある会計基準に基づいて作成された財務諸表を他の会計基準に基づいて作成された財務諸表に作成し直す業務、例えば、日本の会計基準からUSGAAPに組み替える、USGAAPからIFRSに組み替える、といった業務となります。

一方で、純粋な会計アドバイザリーの範疇に留まらず、この数年間サービスラインの拡充を図り続け、経理財務及び経営管理機能の業務プロセス向けのアドバイザリー業務の需要が高まっております。例えば経理業務効率化・標準化支援、決算早期化支援、経理及び経営管理システムの構想から導入支援など、その時々のトレンドに応じ、最新のデジタルツールやAIなどを活用したアドバイザリー業務となりますが、会計という側面に寄り過ぎない故に、この分野にフィットして活躍されているUSCPAも増加傾向にあります。

【2】GRCアドバイザリー

GRCとは「Governance/Risk/Compliance」の頭文字をとって作られた略語となりますが、上述にある「内部統制アドバイザリー」が拡大、若しくは形を変えて現在の「GRCアドバイザリー」となっていると考えて頂いて問題ございません。各法人で紆余曲折あり、現在はBig4監査法人の中にこの分野のアドバイザリーを展開しているのは2法人のみ(他2法人はグループ会社で展開)となりますが、この分野で活躍しているUSCPAの方も数多く存在しており、USCPAとの親和性も高い分野となります。

内部監査及び内部統制機能の高度化・効率化、グローバル・リスク管理態勢及びコンプライアンス態勢の構築などが具体的なテーマとして挙げられますが、特に内部統制に関しては、企業がビジネスを拡大、若しくは変革を行うなど、企業活動に必ず付随するテーマとなるため、いつの時代も一定の需要が見込まれるものとなります。

その他にも、海外上場支援、海外子会社を含めた連結決算プロセス改善支援、海外企業による日系企業買収後のPMIの一環としての会計プロセス構築支援など、アドバイザリー業務においてはUSCPAの活躍の場は多岐に渡ります。

■まとめ

大手監査法人におけるUSCPAの活躍先として、金融機関向け監査部門、一般事業会社向け監査部門、アドバイザリー部門(会計アドバイザリー・GRCアドバイザリー)の計4つを挙げさせて頂きましたが、USCPA合格を採用の基準に置いている(若しくは評価ポイントが高い)メジャーどころの部門となります。言い換えますと、会計未経験のUSCPA合格者を採用し入社後も数多く活躍されている部門と表現しても良いかもしれません。

それ以外にも、パブリックサービス部門でPPP/PFIのプロジェクト、金融アドバイザリー部門で海外金融規制に関わるプロジェクト、サステナビリティ・ESG領域のアドバイザリーなどで活躍されているUSCPAも存在はするものの、そもそも採用時にはUSCPA合格という点よりもこれまでの経歴やスキルに重きが置かれる狭き門になり、まだまだ活躍されているUSCPAは少ないのが現状です。

とは言え、大手監査法人のアドバイザリー部門においては急速に業務が拡大している時代でもありますので、USCPAが活躍できる部門が今後新たに生まれる可能性も十分にあることと思います。

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