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【働くシリーズ Vol.2】大手監査法人(金融監査)で働くUSCPAの声

2024年10月3日
  • 会計監査
  • 働くシリーズ(転職後の生の声)
  • 監査法人

2017年11月6日 / 最終更新日:2024年10月3日
※一部更新箇所はありますが、内容そのものは公開時のものとなります。

転職後の生の声を伝えるべく始めた「働くシリーズ」ですが、その第二弾(Vol.2)として、「大手監査法人(金融監査)で働くUSCPAの声」をお届けします。

■はじめに

今回の記事は、大手監査法人の金融監査部門に所属し、金融機関向けの監査業務に従事していた方から寄稿頂いたものとなります。今年から監査法人を離れ新しい職場で活躍されておりますが、氷河期時代に合格し、30代に入ってから監査法人に入所した方となりますが、金融監査部門におけるUSCPA(米国公認会計士)の活躍の場、監査法人における仕事の進め方など、経験者の視点で綴って頂きました。

■USCPAを目指したきっかけ

学生時代は会計や簿記にあまり興味を持っておりませんでしたが、大学卒業後に入社した会社で海外関連の仕事をしていたとき、海外の会計士と関わったことがきっかけで、USCPAという資格に興味を持ちました。社会人5年目位の頃から資格の専門学校に通い、2年程で全科目取得しました。

■取得後と監査法人への入所

取得後は金融機関に転職しました。金融経験はありませんでしたが、一定以上の会計知識、USCPAの資格があれば未経験でも可というポジションがあり、USCPA取得がダイレクトに繋がった転職だったと思います。

この時は、監査法人への転職は考えておりませんでした。当時は監査法人があまり積極的に採用をしていない時期で、かつUSCPAという立場は日本の公認会計士(JCPA)がマジョリティの世界でハンディになると思ったからです。また監査という、単純にいえば財務諸表の事後的なチェックという仕事よりも、コンサルティングの仕事や金融系の仕事に興味があったこともあります。

しかしその後3年ほど転職先の企業で勤めていく中で、逆説的ではありますが、せっかく取得した資格が一番生きる業務を一度は経験しておくべきではないか、という想いが強まり、また当時30歳を過ぎた頃でしたが、年齢的にもチャレンジするなら今しかないと考え、監査法人への転職を試みることにしました。ちょうど4大監査法人のうち2法人が細々とUSCPAの求人を開始している時期で、そのうちの1法人に入所を決めました。

因みにご存じの方も多いかもしれませんが、基本的に監査法人の監査部門は、どんなに前職経験があっても監査経験がないとエントリーレベルで入所するため、30代になってから入所する場合、待遇面で下がる方もいるかもしれません。ただマネージャーになるまでの数年は残業代がつき、かつ長時間勤務となることが多いので、時間的な拘束とのトレードオフではあるものの、ある程度の待遇は確保できるようになると思います。

■監査法人でのUSCPA

私は金融部門での採用で入所しました。特に金融にこだわりはありませんでしたが、監査法人がUSCPAに期待するものとしては英語力のウエイトが高く、クライアントに米国上場企業や外資系企業が多い金融部門で盛んに採用をする傾向があります。そのため、入所時に外国人パートナーとの英語面接がありました(※2017年現在では英語面接は原則実施していません)。同時期に入ったUSCPAの同僚のバックグラウンドを見ると、職種は様々であるものの、帰国子女や海外で働いた経験がある人も多かったです。ただ、海外経験がマストという訳ではなく、私も特にはありませんでした。従って、入所の段階では経理経験や会計知識よりも、英語が出来るか、また社会人としての一定のコミュニケーション能力はあるか、というような点を見られていたように思います。もちろんこの基準は、積極的に採用している時期とそうでない時期で、緩まったり厳しくなったりします。このあたりの振れ幅が大きいのも監査法人の特徴だと思います。

さて、金融部門で入所したその後ですが、私は米国上場をしている日系大手証券会社の監査チームに配属されました。入所するとクライアントをいくつか掛け持つのが通常ですが、ビッククライアントのチームに配属されると、一年を通じてその企業にアサインされることが多いです。私の場合は少しイレギュラーで、別の外資系金融機関を担当したり、一時アドバイザリーのプロジェクトに参画したりした時期もありましたが、年次を重ねる毎にメインのクライアント専属になりました。

考え方は色々ですが、私は年間を通じてビッククライアントの監査チームに関わることができて良かったと思います。ひとつの会社といっても規模が大きいため、いろいろな仕事がありますし、シニア近くになってくるとたくさんある子会社の主査にアサインされるので、親会社とはビジネス内容も、規模の違う会社を経験することができます。また私が配属されたチーム特有ではありますが、米国上場しているため英語が必要となることが多く、外国人の同僚や上司も多かったため、大変フラットな風土で、年齢や資格に関係なく仕事がしやすかったです。

■JCPAとUSCPA

私がいたチームでは、全体の2、3割がUSCPAでした。上でも触れましたが、入所前のイメージだと、業務内容や評価の面でJCPAと差があるのではと懸念していましたが、蓋を開けてみると全くそういうことはなく、完全な実力主義の風土でした。

特に金融部門のチームに配属されると、金融関連の特別な勉強をやってこなければ、JCPAであろうとUSCPAであろうと、同じスタートラインに立って金融知識を学ぶことになり、また英語力を必要とされる場面も多かったため、USCPAにとっては比較的存在意義を発揮しやすい環境だったと思います。もちろん、会計知識が求められることは多いですし、金融特融の会計処理や、高度なデリバティブ会計が出てきたりもするので、深い会計知識があるに越したことはありません。また会社法決算も担当するので、そうした場面では会社法をみっちり学んだ日本の会計士が圧倒的に有利ですし、USCPAが弱い税金等の科目の担当はJCPAになることが多かったです。

ただ、金融部門で数年働いた所感としては、JCPAであろうとUSCPAであろうと、金融特有なことに興味が持てて、学ぶ意欲のある人が生き残っていける感がありました。USCPAで入所する場合、金融に興味があってというより、たまたま金融部門で募集していたので、という巡り合わせで入所する方も多いと思いますが、どのくらいマニアックなことに興味を持てるかはポイントかもしれません。

■監査法人で求められる人材

金融部門に関わらず、監査法人全体に言えることだと思いますが、監査法人はクライアント毎の監査チーム単位で仕事をするので、そのチームでいかに仕事をするかで、重宝もされるし、逆にアサインを外されることもあります。シニア以上になってくると、自分の担当するチームの構成をどうするか、ある程度決められるようになるので、「あの人が欲しい」、「あの人は使えない」といった会話はあちこちで聞きます。

そう聞くと恐ろしさを感じる人もいるかもしれませんが、チームの一スタッフとして働く場合は、社会人としての常識的なコミュニケーション能力、エクセルスキルがあればそこまで変なことは言われません。ただクライアント仕事をしている以上、コミュニケーション能力は重要で、また一朝一夕に身につくわけでもないので、職階が上がるにつれ、クライアントと適切な交渉を進めていける力は重要になってくると思います。またチームにもよると思いますが、基本的に若者が多く、向上心が強い人が多いため、その中に埋もれぬよう、目の前のことに着実に取り組みつつも、しっかり発言し、立場を確立していくことはポイントだと思います。

■監査法人を目指す人へ

私は30代に入ってから監査法人に入所し、入所当初は待遇面も下がり、かつ自身よりもかなり若い人が先輩、上司という環境で約4年間過ごしました。入所にあたっては、なんで今更そんな条件で監査法人に入るのか、他に行った方がいいのではないか、という意見も色々頂きましたが、結果的には入所してとても良かったと考えています。もちろん毎日がハッピーという訳ではなく、むしろハードワークで大変なことばかりでしたが、学ぶことはたくさんありましたし、またシニアになればある程度自分で仕事を組み立てていけるので、多忙であることを除いてはやりやすい職場でした。

またその後の転職活動においても、「大手監査法人にいた」という事実はかなりアドバンテージだったと思います。ただそれより何より、当初の目的でもありましたが、頑張って取得した資格が一番生きる仕事に就けたことはいい経験となりました。USCPAを勉強中、もしくは合格された方で監査法人を選択肢の一つとしてお考えになっている方がいらっしゃったら、ぜひチャレンジして頂ければと思います。

■編集者より

Vol.1でも同様のコメントを入れさせて頂きましたが、編集者としては、誤字脱字のチェックと体裁面を整えるくらいで、本人からの寄稿をそのままアップさせて頂いております。

また、毎回同じことを言っておりますが、法人や部署によって仕事の進め方、社内風土、キャリア形成などは大きく異なりますし、個々が持っている仕事に対する考え方やキャリアプランも異なることと考えておりますので、あくまでも参考としてとらえて頂ければと思います。

新しい職場で会社や業務にも不慣れな中ではありながらも、当Topicsの記事作成にご協力頂き感謝申し上げます。

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