2018年9月18日 / 最終更新日:2024年10月5日
※一部更新箇所はありますが、内容そのものは公開時のものとなります。
今回の合格体験記も2018年6月のScore ReleaseでUSCPA(米国公認会計士)試験に全科目合格された方となりますが、1度目の試験で全科目受験に挑み全てFail、2度目の試験で同じく全科目受験に挑戦し全てPass、見事リベンジを果たした、というとても珍しい方です。
大学卒業後、日系のメーカーに入社しました。私は経済学部卒ですが、簿記の勉強をしていたわけではなく、職務内容も会計や経理関係の仕事ではなかったので、会計知識は無い状態でUSCPAの学習をスタートしました。また、英語力はTOEIC700点前半で、仕事でも英語でのメールを週に1、2回する程度でした。USCPA合格後は監査法人から内定を頂くことができました。
まず、私がUSCPAの学習をした理由ですが、私は当初から明確に転職を意識していたわけではなく、前職で予算作成などの業務に携わったことで、会計に興味をもち、その知識を学びたいと思ったことがきっかけでした。簿記から始めようとも考え思いましたが、簿記は仕訳やB/SやP/Lの作成といった処理の部分に重きがおかれている印象で、私が学習したいと思った会計の考え方や「なぜそのように処理をするのか?」といった内容は薄いと感じたので、別の資格がないかと探したところ、USCPAの存在を知りました。仕事で監査対応をすることもあり、監査の知識もつけられる点や英語の訓練になる点も自分の希望とマッチしていると思い、学習を開始しました。
次に転職を決めた理由ですが、主に2点あります。
1点目は、会計士の仕事に魅力を感じたためです。業務で会計士の方とお仕事をする機会があり、その時の会計士の方のビジネスの理解力や処理に対する的確な指摘が素晴らしいと感じたことに加え、監査は単に財務諸表をチェックするだけではなく、企業が公正さを保つことをサポートする仕事でもあると実感しました。この経験から、自分もそのような職に就きたいと思い、転職を見据えるようになりました。
2点目は、専門性を持った仕事に従事したいという希望があったからです。前職のメーカーで、技術的な知見や技能を有している方とお仕事をしたことで、私も将来的には専門性をもって仕事をしていきたいと考えていました。この考えが前々からあったため、USCPAの資格や会計士の仕事を知ったことが、自分の方向性を定めることに繋がりました。
<受験スケジュール>
予備校に通い始めた頃は1年半以内に合格したいと思っていたのですが、仕事と学習の両立ができず、入校から1年たってもまだ1科目も受験すらできていない状況でした。そこで、この状況を変えるために、会社を辞めて学習に専念しました。この時にはUSCPA合格後に転職することは決心していたので、短期間で合格したいと考え決断しました。退職後は毎日勉強し、18年1Qに全科目受験したものの、全て不合格でした。その後、18年2Qに全科目再受験し、全科目合格することができました。
<苦労したこと>
【1】学習時間の捻出
上記の通り、私は仕事と学習を両立することができませんでした。時間が取れる時期は学習するものの、仕事が忙しくなると学習をおろそかにしてしまい、以前学習した内容を忘れて再度やり直すという悪循環を起こしてしまい、学習が進まず苦労しました。私の意志の弱さや時間管理能力不足が招いたことと思いますが、学習内容以前に、いかに集中できる時間を確保するかという点が私にとっては最も困難でした。
【2】4科目の同時学習
できるだけ早期に合格したかったので、4科目を並行して学習したのですが、やはり量が多くて大変でした。一旦、試験範囲を最後まで学習した後は、教科書の内容理解を中心に1週間に1科目のペースで復習するという学習方法を実施しました。1度目の受験結果が全て不合格になったときは、1科目に集中する方法に切り替えようとも思いましたが、そのころには復習のスピードも上がってきていたので、引き続き同時に学習していくことにしました。イレギュラーな学習スケジュールだったかと思いますが、結果としてはなんとか合格でき、ホッとしました。
【3】解答スピードの向上
私は英文読解のスピードが遅かったので、解答スピードを上げることも苦労しました。USCPAの試験時間は各科目4時間ですが、事前に模擬試験を受けた際に、時間が全然足りずショックを受けました。問題演習を通じ、問題内容と覚えた知識を素早く結びつける練習を何度も行ったことで合格までたどり着くことはできましたが、2度目の受験の際もかなり時間に追われて解答した記憶があります。
全科目を終えた感想としては、USCPAは想像以上に大変な試験だったと思いました。各論点の難易度というよりも、広い試験範囲の内容を網羅的に理解し頭に定着させ、試験では素早く問題を読み解きアウトプットすることが必要なので大変でした。私の感覚としては、いわゆる試験予備校が謳っている学習時間の1.5倍以上の時間を費やしたと感じています。それから、受験にかかる費用が高額だと感じました。授業料以外に、学歴評価依頼費用、出願手数料、試験料、日本会場手数料がそれぞれ百~数百ドル必要ですので、合計するとかなりの額になります。これから受験を考えられる方は、よく考慮に入れておいたほうがよいかと思います。
合格後は監査法人から内定をいただくことができましたので、今後はUSGAAPだけでなく、JGAAPやIFRSの知識も深め、監査実務を習得していきたいと考えています。また、しっかりと実績を積んだうえで、将来的にはアドバイザリーの仕事にも携わりたいと思っています。
私の経験としては、学習内容の理解度は、時間に対して直線的に比例するというよりも、ある時点に到達したときに飛躍的に深まる感覚がありました。ですので、なかなか結果が出なくて自信を失うこともあろうかと思いますが、是非諦めずに学習を続けていってほしいと思います。
また、私と同じように転職を考え学習をされている方につきましては、合格後に焦って第一希望の法人や企業に応募するのではなく、しっかりと準備を整えてから臨んで頂ければと思います。私は今回初めて転職活動をしたのですが、当初はどこからも内定を頂くことができず、自分の甘さと転職の厳しさを痛感しました。その後、転職エージェントを変更し、履歴書・職務経歴書の作成から面接対策まで親身になってご指導頂いたおかげで、最終的にはなんとか内定を得ることができました。当然ではありますが、採用面接は試験とは異なり再チャレンジ不可の一発勝負ですので、納得できる転職エージェントを探し、悔いのない転職活動を進めて頂ければと思います。
私の体験が少しでも皆様のご参考になれば幸いです。
大変だとは思いますが、お体に気をつけて頑張ってください!
まず、合格体験記を寄稿頂いたことに深謝申し上げます。
長年、USCPA合格者の方々と接してきましたが、この方のように4科目全てを同じテスティングウインドウで受験される方は数少ないですね。また、1度目が全部不合格であれば、2科目ずつやっていこう、などと方針転換する方が多いことと思いますが、再度4科目全ての受験に挑んで合格を果たす…それは並々ならぬ努力と合格への強い気持ちがあったこそであると考えています。
その後の転職活動に際しては、準備不足のまま面接を受けてしまったことで苦戦をしておりました。全て仕切り直すことから始めましたが、面接に進むことを前提に面接準備を進め、キャリアや人生においてキーとなる「点」を見つけ、その「点」を「線」で結びつける作業を一緒に行い、本音ベースのストーリーを作りあげていきました。その後もご自身で練習を重ねた成果もあって、最初お会いした時とは見違えるほどになりましたね(一緒にやっていがらも、こんなに違うものかと正直びっくりしました)。
面接とは別の要素で残念ながら不合格となってしまった法人もありましたが、その後は面接で落ちることはありませんでした。同じ法人を二度受けることはできないながらも、USCPAの再受験と同じ結果になりましたね。新天地で仮にうまく行かないことがあったとしても、持ち前の胆力で乗り越えて頂きたいと思います!
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