2018年7月24日 / 最終更新日:2024年10月5日
※一部更新箇所はありますが、内容そのものは公開時のものとなります。
2018年6月のScore ReleaseでUSCPA(米国公認会計士)試験に全科目合格された方より、USCPA合格体験記を寄稿頂きました。USCPAを志した背景から、学習のスケジュールや苦労話、合格後のキャリアについて綴って頂きました。
大学では商学部に所属していたものの、国際交流サークルに入り留学生の友達を作ったり、他学部の英語で行われる授業を積極的に受講したり、一年間の留学を経験するなど、語学学習が中心の学生生活を送りました。大学を卒業後、新卒で英会話スクール事業を行う会社に就職しました。その後、教育塾に転職をし、塾講師として小中高校生を対象に英語を指導していました。
カリフォルニア州サンディエゴへの一年間の留学がきっかけとなり、USCPAを目指すことになりました。当時、現地の学生との会話の中で、専攻の話をする機会が頻繁にありました。特に、初対面での自己紹介では、名前や出身国を言った後に、専攻は何か、将来は何になりたいのか、などを聞かれることが多かったです。その度に、私は日本の大学では商学部だったので、Commerce/Economicsとは答えていたものの、英語以外に具体的にこれを主に勉強していると自信を持って言えるものがなく、「将来は普通に会社員かな」程度にしか答えられていませんでした。それに対し、他国からの留学生や現地の大学生は、「将来これになりたい!だから今これを勉強しないといけないんだ」というような事がはっきりと説明できる人が多く、この頃から、語学以外に付加価値となる様なものを身に付けたいと思うようになりました。
帰国後、目に見える付加価値として、何か一つ大きな資格を取ろうと決心しました。大学の近くには専門学校が点在しており、資格といっても選択肢は多くありましたが、私は簿記の学習経験があったので、公認会計士(JCPA)を目指すことにしました。JCPAを目指し数年学習を経験するも、就職などの環境変化もあり、計画通りに学習が進まない中で、ある吉報を耳にしました。留学時代の日本人ルームメイトの一人が帰国後にUSCPAに合格し、監査法人に就職したのです。すぐに、USCPAの有用性や問題の難易度などに関して情報収集をしました。JCPAと比べると各論点が平易に感じられたこと、英語が得意科目であったこと、科目合格制度が採用されていたこと、などを加味し、自分に合っている資格だと感じ、目標をUSCPAに切り替えることにしました。
<受験スケジュール>
REG以外の3科目を並行して学習をしていましたが、最初に受験をしたのはFARでした。公会計やIFRSなどUSCPA独特の論点もいくつかありましたが、日本の公認会計士試験や簿記検定との関連性が大きく、一番手を付けやすい科目だったと思います。しかし、前評判以上に本試験の問題が難しく感じ、初回受験では不合格。その後、FARを一度諦め、BECとAUDを同時期に受験し、合格。続いて、REGを集中的に学習し、合格。最後にFARを再受験し、合格。JCPAからUSCPAに目標を切り替えてから約1年半かけて全科目に合格しました。
<苦労したこと>
【1】USCPAに関する情報の不足
日本の公認会計士試験に比べて圧倒的に情報量が少なく、予備校も限られた数しか存在しません。当初は出来るだけ費用を抑える為に、市販の本などで独学も検討していましたが、書店などで扱うUSCPA学習者向けの書籍はほぼ皆無だったので、早いうちに見切りをつけ、予備校のオンライン講座を申し込みました。
【2】費用面の負担
USCPAの受験料は非常に高額に感じました。私の場合、FARを一度不合格になっているので、計5回受験した事になります。お試し受験の様に、“受かればラッキー”や“場数を踏みたい”という感覚では受けづらい試験だと思います。また、NTSという受験票を事前に発行する必要があるのですが、発行から一定期間内でないと無効になってしまうので、しっかりと事前に受験プランを立てておく必要がありました。
【3】時間的プレッシャー
科目合格から一年半が有効期間となる為、最初の科目合格に関しては、嬉しさだけではなく、焦りという感情も同時にやってきました。焦る気持ちによって、その後の勉強に集中できた部分もありますが、やはり全科目合格するまでは、どこかソワソワした感覚でした。
私は、三科目合格をして、四科目の受験が迫っている中で、前職を退職していたので、四科目目の結果発表より前から就職活動を始めていました。監査法人での就業を見据えて活動を行っていましたが、科目合格の状態ですと、応募可能な監査法人が限られていました。仮に、監査法人に採用されたとしても、働きながら四科目に合格出来なければ合格科目が失効してしまうことになる、という不安も心の片隅にありました。そんな状況だったので、どうしてもFARは合格であって欲しいと祈るような気持ちで結果発表の日を迎えました。Creditの表記を目にした瞬間、心からホッとしました。
今後は、未経験である監査業務を経験して、知識を実務に落とし込んでいきたいと思います。自分が学習してきたUSCPAの知識は監査法人ではどのように生かしていけるのか、日々考えながら社会に貢献できればと考えています。具体的には、国内の監査法人でグローバル日系企業や外資系企業の監査を経験しライセンスを取得したのち、いずれはアドバイザリー業務にも携わっていければと思います。
限られた情報の中で何かを決断するのは大変なことと思います。私は十分に情報収集をせずに確信が持てない状況で予備校に入ったので、「本当にこの学校で合格できるのだろうか」と半信半疑のまま学習をしていた時期もありました。予備校の先生に関しては相性が大切ですし、教材に関しても英語のみの教材か日本語解説がある教材が良いか、は人によって違うはずです。私は、費用面だけを考えて学校選びをしてしまいましたが、上述の様に、USCPAは受験料が非常に高い試験です。たとえ受講料の出費が多少大きくても、全科目一発合格をすることが時間的にも費用的にも恩恵が大きいです。スタートラインからの第一歩として、予備校・教材選びは慎重にすることをオススメします。
また、学習プランに関してですが、4科目をどういう順番で受験するべきか、について様々な意見があります。この点に関しては、学習履歴などによって個人差があるので、私からはオススメの順番等はありませんが、『1科目目の受験の際に残りの3科目に全く目を通していない』という状況は、避けるべきだと思います。試験に不合格することよりも合格科目が失効してしまうことの方が遥かに精神的に辛いはずですし、モチベーションも一気に下がってしまうこともあるかもしれません。少し極端かもしれませんが、『科目合格有効期間は1年半ではなく1年』と思い込んで、学習プランを立ててみてはいかがでしょうか。
無事USCPAに合格されることを心よりお祈り申し上げます。
まずはUSCPA合格体験記にご協力頂き、有難うございました!
初回受験で不合格となってしまったFARを早々に諦め、『BEC & AUD ⇒ REG ⇒ FAR』という順序は、かなり特殊な事例かと思います。王道と言われている順序やプランに従うのではなく、一度失敗を経験したことで学習方法やプランを再考し、自分なりに考えたプランに基づいて学習を進めていったことが、全科目合格に寄与していることと考えています。
『予備校・教材選びは慎重に』という言葉も、この方の失敗談から来ています。予備校に入ったものの、ほぼ独学でやっていたようですし…その教材講師や教材の質、学習スタイル等、色々と勘案すべきことはあるものの、費用面に関しては、各科目の受験料、時間や労力を含めたトータルコストで考えると、予備校の受講料の差は大きなものではないのかもしれませんね。
合格後は監査法人への転職も無事決まりました。新しい道の第一歩、これからの活躍も応援していきたいと思います!
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